交通事故に遭われた方は知っておきたい「被害者請求」について弁護士が解説

2021年07月19日
  • 後遺障害
  • 交通事故 被害者請求
交通事故に遭われた方は知っておきたい「被害者請求」について弁護士が解説

石川県においては、令和2年中には2025件の交通事故が発生しています。被害状況としては、負傷者2325人、死亡者は40人となっており、発生件数、負傷者ともに、15年連続で減少しています。

交通事故で重傷を負ってしまった場合などには、後遺症について心配される方も多いでしょう。怪我が完治することが最良ではありますが、万が一後遺症が残ったときには、「後遺症」に関しても交通事故による損害として相手側に賠償を求めていくために「後遺障害等級認定」を獲得することが大切となります。また、適切な「後遺障害等級認定」を獲得するためには、「被害者請求」の方法によって申請することが重要になります。

本コラムでは、交通事故に遭われた方は知っておきたい「被害者請求」についてベリーベスト法律事務所 金沢オフィスの弁護士が解説していきます。

1、後遺障害等級認定とは

  1. (1)後遺障害等級認定とは

    交通事故による怪我を治療しても後遺症が残った場合には、後遺障害としてその症状に応じた等級を認定してもらうことができます。この認定のことを「後遺障害等級認定」といいます

    後遺障害等級認定は、申請を受けて「損害保険料率算出機構」という自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)関係の組織が審査し、認定の可否や等級を判断します。

    認定は原則として書面審査によって行われるので、申請時に提出する書類が重要になります。

  2. (2)認定された場合と認定されない場合では何が違ってくるのか

    後遺障害等級認定を受けた場合と認定を受けなかった場合では、最終的な賠償額が大きく違ってきます
    なぜなら後遺障害等級を受けた場合には、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」を請求できるからです。

    「後遺障害慰謝料」とは、認定された後遺障害の等級に応じて支払われる慰謝料です。

    また「逸失利益」とは、後遺障害が残ったことによって失われた利益のことをいいます。
    具体的には、後遺障害が残ったことによって得られなくなった収入について「逸失利益」として請求できることになります。

    この「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」を獲得できるかできないかでは、賠償金が非常に違います。そのため後遺症があるときには、症状に見合った賠償を受けるためにも認定を受けることが大切です。

2、後遺障害等級認定の2つの申請方法:「被害者請求」がおすすめ

後遺障害等級認定の申請方法は、2通りあります。

  1. (1)事前認定

    「事前認定」とは、相手方の保険会社が認定に関する申請手続きを行ってくれる方法です。
    事故の相手方は任意の自動車保険に加入しており、交通事故が発生した場合にはその保険会社が示談交渉や損害賠償金の支払いを行います。
    相手方の保険会社が申請に必要な資料の収集や申請手続きをしてくれるので、手間がかからないというメリットはあります。
    しかし「事前認定」の方法では、ご自身が関与できない部分も多くあり、適切な認定を受けられない可能性もあります
    そもそも、相手方の保険会社は、後遺障害等級認定がされた場合には支払う損害賠償金が増えるという立場にあります。そのため、適切な後遺障害等級認定の獲得に積極的に動いてくれるとは考えにくい立場であるといえるでしょう。

  2. (2)被害者請求

    「被害者請求」とは、被害者自身が認定に関する申請手続きを行う方法です。

    「事前認定」と比べて「被害者請求」の場合は、資料の収集や申請に関する手続きをご自身で行うことになるのでその分手間はかかるというデメリットはあります。
    しかし「被害者請求」では、ご自身に有利な資料や証拠をそろえて提出できるという大きなメリットがあり、不備があった場合でもすぐに対応することができます。

    申請手続きにご自身が関わることで、認定に関する知識や理解が深まり認定の結果が納得できるものであるか判断できることになります。
    そのため、適切な後遺障害等級認定を受けられる可能性は高まります。

    なお「被害者請求」で申請する場合でも、ベリーベスト法律事務所では後遺障害等級認定手続きに関するサポートを行っているので、ご自身だけで悩むことなく安心して手続きを進めていただけます。

3、被害者請求はどのように行うのか?

  1. (1)被害者請求では収集すべき書類は多い

    「被害者請求」で申請を行う場合には、加害者が加入する自賠責保険会社に連絡して必要提出書類一式を送ってもらいます。

    後遺障害等級認定のための必要提出書類には、医師が作成する後遺障害診断書のほかに交通事故証明書や事故発生状況報告書などの収集すべき多くの書類があります

    そして必要提出書類以外にも、ご自身に有利になるカルテや負傷状況の写真や専門医の意見書なども提出することができます。またご自身に不利な事情がある場合にはそれを補うための説明文書なども作成して提出することができます。

    しかし、認定を受けるためにどのような書類をそろえ、書類にはどのような記載があれば良いのか判断できないことがほとんどだと思います。
    また日常の仕事や家事のほかに、相手側保険会社とのやり取りを進めたりと忙しい中で、資料の収集を行うことはとても大変です。

    そういった場合でも弁護士に相談すれば、アドバイスを受けられ、代理で資料を収集してもらうことが可能になります。

  2. (2)被害者請求を弁護士に依頼すべきメリット

    弁護士に依頼した場合には、提出書類のアドバイスや代理で資料を収集することができるため、依頼者の負担が軽減できます。

    そして弁護士は、適切な認定を受けるためには、どのような内容の書類があればよいか熟知しているため、弁護士に依頼した場合には認定の可能性を高めるというメリットもあります。

    また早期から依頼した場合には、弁護士は後遺障害等級認定を見据えて治療内容や検査などへのアドバイスを行い、認定を受けるための過不足のない書類が準備できることになります。

4、弁護士に依頼した場合には

弁護士は被害者請求に関してだけでなく、相手方保険会社との示談交渉も代理して行うことができます。弁護士に示談交渉を依頼した場合のメリットには、次のようなものがあります。

  1. (1)示談交渉を任せることができる

    自身で相手方保険会社と交渉した場合、やり取りに時間を割けないことなどから、相手方保険会社から言われるがままの賠償金額を飲まされる可能性もあります。
    弁護士に依頼した場合には、相手側とのやり取りなどのご負担を軽減し、納得できる示談を成立させられます。

  2. (2)裁判所基準での交渉ができる

    示談金のうち慰謝料の算定基準は、3つあります。

    1つ目は「自賠責基準」で、自賠責の範囲で支払われる額のことをいいます。
    自賠責保険は強制加入保険ですから最低限度の補償をするための基準になるので、「自賠責基準」は3つのうちもっとも低額になる基準です。

    2つ目は「任意保険基準」で、任意保険会社独自が作成する基準のことをいいます。
    保険会社が提示する示談金は、この「任意保険基準」に基づいて計算されています。

    3つ目は「裁判所基準」で、過去の裁判例をもとにして弁護士会が作成した基準です。
    「裁判所基準」は、3つの基準のうちもっとも高額となる基準です。
    弁護士は、「任意保険基準」での示談金を提示する保険会社に対して、根拠を示して高額となる「裁判所基準」で交渉を進めることができます

  3. (3)示談金の増額が見込める

    弁護士は、「裁判所基準」で示談交渉を行い、後遺障害等級認定を適切に受けるためのサポートを行うことができます。

    そのため結果として、保険会社が提示する示談金よりも増額して示談を成立させられる可能性が高くなります。

5、弁護士費用はどれぐらいかかるのか?

弁護士に依頼するメリットを理解されていても、弁護士費用を心配される方も多いものです。
しかし、ご自身やご家族の保険の特約に「弁護士費用特約」が付いていれば、基本的には弁護士費用の負担はありません

「弁護士費用特約」は、上限300万円程度まで保険会社が弁護士費用などを負担してくれるサービスです。「弁護士費用特約」が付いている場合には、保険会社に確認のうえ積極的に活用するとよいでしょう。

また「弁護士費用特約」がない場合でも、ベリーベスト法律事務所では、弁護士報酬の多くを、相手側から支払われた金額の中からいただく形をとっております。

そのため弁護士費用の負担をあまり心配されることはありません。まずは初回無料となっている相談をご利用ください。

6、まとめ

本コラムでは、交通事故に遭われた方は知っておきたい「被害者請求」について解説していきました。

ベリーベスト法律事務所 金沢オフィスでは、交通事故に関する豊富な知識と経験を持つ弁護士が被害者の方を全力でサポートいたします。
ぜひご自身だけで悩むことなくお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています