離婚を有利に進めるためにできること。浮気の証拠集めについて弁護士が解説
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司法統計によると、金沢家庭裁判所において平成29年に終局した婚姻関係事件、つまり離婚や、浮気の慰謝料等に関する婚姻中の夫婦間の紛争(訴訟事件を除く)の数は、513件となっています。北陸にある家庭裁判所3件だけでみると、金沢家庭裁判所がもっとも多くなっています。
配偶者に浮気をされたとなれば、深く傷つくとともに、慰謝料を受け取って離婚したいと考えることもあるでしょう。さらに、「こんなに傷つけられたのだから、できるだけ有利に話し合いを進めたい」と考える人もいるでしょう。
では、離婚を有利に進めるためには、まず何から始めればよいのでしょうか。今回は、離婚を有利に進めるための証拠集めについて金沢の弁護士が解説します。
1、法律で定められた浮気(不貞行為)の定義
まずは、浮気による離婚について調べたときに登場する「不貞行為」という言葉について解説します。
「不貞行為」とは、法律用語です。夫婦間はもちろん、人によって浮気や不倫の定義は異なります。しかし、「不貞行為」とは、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことです。原則、性的な関係にキスや手をつなぐ行為などは含まれません。しかし、実際には、肉体関係の有無だけで不貞行為に該当するかどうかが判断されるわけでもありません。たとえば、性行為はなかったとしても、挿入前の前戯だけでも内容によっては性交類似行為があったとされることもあります。さらには、肉体関係があったといえる状況はなくても、いわゆるプラトニックな恋人同士とみられる関係を継続していたことが不貞行為と認められたケースもあります。ただし、慰謝料の金額は低額なものでした。
裁判などで争った場合、最終的には、証拠の有無はもちろん問われますし、肉体関係を伴う交際があったことについての証拠があったほうが、スムーズに進みます。しかし、そのうえで、ケース・バイ・ケースで判断されるものになるでしょう。
2、浮気の証拠があれば離婚を有利に進められる
次に、離婚を有利に進める方法を解説します。
配偶者の不貞行為が原因で離婚したいなら、まずは離婚を有利に進めるために不貞行為の証拠を集めることが大切です。相手が離婚を拒む場合や、高額な慰謝料を支払いたくない場合など、配偶者がなかなか不貞の事実を認めないケースは少なくありません。そのようなときに不貞行為の証拠を提出できれば、離婚を有利に進められます。
では、どのような証拠を集めれば離婚に有利となるのでしょうか?
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(1)証拠として認められやすいもの
配偶者が不貞行為をした証拠として認められやすいのは次のようなものです。
- 不倫相手とラブホテルへ入っていく瞬間や出てきた瞬間の写真・動画
- ふたりでホテルの同室へ宿泊したことを示す領収書
- 肉体関係があったと誰が見てもわかる内容のメールや音声通話のデータ
- 裸で撮影したツーショット写真・動画
- 不倫期間が長いことがわかる日記やSNSの履歴、メールなど
反対に、以下の証拠だけしかないケースでは、離婚を有利には進めることは難しいでしょう。
- 不倫相手と手をつないだりキスをしたりしている写真・動画
- カラオケ内で服を着たまま撮ったツーショット写真
- 不倫相手への好意を伝える内容のメールや音声通話のデータ
- 関係をもったのが一度だけだと分かる内容のメールや音声通話のデータ
とはいえ、どのような証拠でも、多ければ多いほど有利になります。「これは証拠にならないだろう」と勝手に判断せず、まずは集められるだけ集めておきましょう。
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(2)証拠の集め方
次に、証拠の集め方を紹介します。
●メールやLINE
メールやLINEなどのコミュニケーションツールで不貞の証拠を見つけた場合は、配偶者の携帯(スマホ)に表示させた状態で写真を撮りましょう。できれば、配偶者の携帯であることが分かるように携帯のフチやカバーまで一緒に写しておくと、より信ぴょう性が高まります。メールやLINEなどの送受信日時も一緒に撮影することと、あなたの撮影した日時が残るようにしておくことも大切です。
もし不貞の期間が長いようなら、トーク履歴のバックアップを取って自分のスマホなどへ送信しておくことも方法です。不貞を行った期間が長ければ長いほど、有利に離婚を進められます。
ただし、配偶者が携帯にパスワードや指紋認証でロックをかけていた場合、勝手に解除してメッセージを表示することは、プライバシー侵害や不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反に当たる可能性があります。なお、証拠収集の方法があまりにも違法性が強いような場合には、違法収集証拠とされて排除される可能性もあります。
●写真や動画
配偶者が決まった曜日や日時に不貞行為をしているようなら、待ち伏せや尾行をして写真もしくは動画で撮影するのも方法のひとつです。しかし、もし失敗すると配偶者が行動を慎む可能性もあります。証拠を集められないまま離婚話が進展するとなかなか有利に進められないので、くれぐれも慎重に行動しましょう。
金銭的に余裕があるなら、信用調査会社や探偵事務所へ依頼するのもよいでしょう。どこがよいかわからないときは、弁護士に相談すると、信頼できる業者を教えてくれることがあります。
●領収書やクレジットカードの明細書
配偶者が捨てた領収書や、クレジットカードの明細書も証拠として認められることがあります。
したがって、ラブホテルの領収書だけでなく、ふたりで同じ部屋に宿泊したことが分かる内容なら不貞行為の証拠として認められやすいでしょう。ただし、シティホテルのダブルルームに宿泊したことだけしか分からない内容の領収書だと、他にも証拠が必要になるでしょう。
もしも配偶者のメールやLINEなどを見られる状態なら、宿泊日前後のやり取りをチェックしてみましょう。また、不倫相手を特定できている場合は相手のSNSなどをチェックしてみてください。同じ日時に同じホテルへ行ったことが分かれば、同じ部屋へ宿泊したことを推測できる情報として認められる可能性があります。
●自白の音声データ
配偶者や浮気相手が浮気を自白した音声データがあれば、離婚を有利に進められます。
たとえば、
- 浮気はもうしない
- カラダの関係をもっただけ
- 浮気をするつもりはなかった
などの発言は、配偶者に自白をしたつもりがなくても自白したのと同じです。何気ないセリフがポロッと出ることもあるので、配偶者が家にいる際の会話はICレコーダーやスマホのレコーダーアプリを使って録音しておきましょう。
3、まとめ
スマートフォンや携帯電話にロックをかけていない人は、あまり多くありません。ましてや浮気をしている既婚者ともなれば、おそらくしっかりとロックをかけている人が多いのではないでしょうか。しかし、配偶者のロックを解除すると法律違反になるおそれがあります。通知でメッセージが表示されていなければ、SNSなどを通じて証拠を集めることは難しいかもしれません。
勝手にロックを解除して証拠を見つけようとする前に、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所・金沢オフィスで相談してください。状況に合わせた証拠の集め方をアドバイスさせていただきます。証拠を集める段階でトラブルになれば、有利になるどころか不利になってしまう可能性もあります。不貞行為の証拠集めは慎重に行いましょう。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています