突然の解雇予告! 解雇予告通知書がもらえない場合の対応方法とは?
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ある日、上司に呼び出され「来月で解雇する」と告げられる。
こういったシチュエーションは、テレビドラマの中だけではなく現実にも起きています。
では解雇予告をされた場合、まず何をすればいいのでしょうか?口頭で予告され「解雇予告通知書」がもらえない場合にはどうすればいいのでしょうか?金沢オフィスの弁護士が解説します。
1、解雇予告と解雇予告通知書
「解雇予告」という仕組みをご存知でしょうか?
一言で言うと、労働者に解雇を事前に通知する仕組みです。その際に「解雇(予告)通知書」という書類が渡されることがあります。
まずはこの解雇予告について、簡単にご説明します。
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(1)解雇予告は法律で決められた義務
会社がいつでも自由に解雇を行うことができるとすれば、労働者は安心して働けず、収入もいきなり途絶えてしまう事態になりかねません。
そこで労働者を守るために、解雇をする場合には事前に予告しなければならないと、労働基準法で定められています。
労働基準法第20条第1項
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。(略)
もし解雇予定日の30日前までに予告しなかった場合には、30日に満たない日数分だけ「解雇予告手当」として平均賃金を支払う必要があります。
ただし日雇いや試用期間中の労働者、懲戒解雇の場合、天災その他やむを得ない理由がある場合には、予告や手当の支給は必要ないとされています(労働基準法20条1項ただし書、同法21条)。 -
(2)解雇予告通知書の内容
解雇予告の際には会社から「解雇(予告)通知書」という書類が交付されます。 通知書には、一般的に以下のような内容が記載されています。
- 解雇する労働者の氏名
- 会社名称、代表者名
- 解雇予告通知書の作成日
- 解雇予定日
- 解雇予定日が30日未満の場合には、予告手当の日数と金額
- 解雇の文言
- 解雇理由
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(3)口頭で解雇予告された場合にはどうすればいい?
解雇(予告)通知書の交付は義務ではありません。
そのため口頭で予告されることもあります。
ですが書類に残っていなければ、後々会社と労働者の間で「言った・言っていない」のトラブルになることがあります。
また解雇予定日までに30日以上あるか、解雇理由は正当なものであるかどうかを確認するためには、きちんと書面にしてもらうことが大事です。
もし口頭で解雇予告された場合には、解雇(予告)通知書の交付を会社に求めましょう。
2、解雇予告通知書をもらったときに確認するべき3つのこと
会社が行う解雇は、必ずしも法律にのっとった正しいものとは限りません。
中には明らかに一方的で、不当な解雇もあるのです。
そのため会社から解雇を告げられ解雇予告通知書をもらったら、まず内容を確認しましょう。チェックすべきポイントをご紹介します。
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(1)解雇予定日はいつか
法律では解雇予定日が予告日から30日未満の場合は、解雇予告手当を支払わなければならないとされています。
まずは解雇予定日が30日以上先なのかをチェックしましょう。
30日に満たない場合には、手当の支給について記載があるかを確認してください。
30日未満かつ手当も支給されない場合には、会社に解雇予告手当の支給を求めることができます。 -
(2)会社が主張する解雇理由は納得できるものか
通知書の解雇理由の欄には「会社の就業規則○条に違反したため」などと、解雇の理由・根拠が示されています。
もしその内容に身に覚えがないなど、納得がいかないものであった場合には、黙って解雇を受け入れる必要はありません。不当解雇の可能性もあります。 -
(3)解雇理由証明書を請求したか
上記の「解雇(予告)通知書」とは別に、「解雇理由証明書」というものがあります。
解雇予告通知書は、解雇を予告した際に渡すものです。
ただしこれは義務ではなく、交付しなくても罰則などはありません。
一方の解雇理由証明書は、労働者からの請求があった場合には必ず交付しなければならないと、法律で定められています(労働基準法22条2項)。
会社から受け取る書類は、不当解雇かどうかを確認するために必須です。
その後の会社と交渉や裁判の際にも、重要な証拠となります。
解雇予告通知書を受け取った場合でも、証明書に解雇の理由などがより詳しく書かれている可能性があるため、両方交付してもらうようにしましょう。
3、解雇を受け入れる場合に注意するべき3つのこと
「解雇は仕方がない」「諦めて早く次に進みたい」など、解雇を受け入れる場合には、再就職活動を始めることになるでしょう。
ですがその前にやっておくべきことがあります。
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(1)退職は会社都合か自己都合かチェック
離職票にも、解雇の理由が書かれています。
その内容が「自己都合」にされている場合もあります。その場合には「会社都合」に変更してもらうようにしてください。
自己都合の場合、会社都合に比べて失業手当の給付日数が大幅に少ないなど、受けられる保障に大きな差がでてきます。
また会社の倒産などが理由の場合には、会社都合としてそれをきちんと記載してもらうことで、再就職活動の際に自分に非がないことの証明となります。
会社の言いなりにならず、間違っている部分はきちんと主張し、修正してもらいましょう。 -
(2)解雇予告手当がある場合には受け取る
解雇予告日が解雇日まで30日未満の場合には、日数分だけ解雇予告手当が支給されます。
解雇予告手当は、次の計算式で算出されます。
「直近3ヶ月の賃金総額 ÷ 直近3ヶ月の総日数 × 30日に満たない日数」
手当の支給がある場合、通知書には金額が記載されているはずです。
自分でも計算し、金額に間違いがないかチェックしましょう。
また解雇まで30日未満であるのに手当の記載がない場合には、必ず会社に訂正を求め、きちんと手当を支給してもらいましょう。 -
(3)有給は消化する
解雇予告があっても解雇日までは従業員のままです。
そのため有給を使うことができます。
解雇予定日まで日数がある場合には、どこかで有給を消化できるように会社に請求することもできます。 -
(4)弁護士に代理してもらうことも可能
自己都合から会社都合への記載の変更や解雇予告手当の請求は、会社に自ら行わなければいけないため、ためらう方もいるでしょう。
また会社側が請求を受け入れてくれないこともあります。
その場合には弁護士に交渉をお願いしましょう。
弁護士は会社との話し合いの同席はもちろん、会社と直接話したくない場合には交渉を代理してくれます。
法律の専門家であるため、個人で行うよりも会社側が請求を受け入れてくれる可能性も高まります。
4、解雇を拒否する場合にするべきこと・やってはいけないこと
「解雇理由には納得できない」「今解雇されては困る」など、解雇を拒否する場合には、会社と対決していくことになります。
今後のやりとりを有利に進めていくためには、するべきこと・やってはいけないことがあります。
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(1)解雇理由証明書は忘れずに請求する
不当解雇として会社と争う場合、解雇の理由が書かれた証明書は重要な証拠になります。
証明書が請求できるのは、解雇予告から解雇日までです。
退職後は請求できなくなってしまいますので、解雇予告されたらすぐに請求しましょう。 -
(2)解雇予告手当は受け取らない
解雇を拒否する場合には、会社から解雇予告手当支給の話があっても受け取りを拒否してください。
また手当を自分から請求するのも避けましょう。
手当を受け取ってしまうと、解雇を承諾したと受け止められてしまう可能性があります。 不当解雇を争う場合には、この事実が不利になるかもしれません。
ただし給与口座に勝手に振り込まれてしまうこともありますので、対応に迷ったら弁護士に相談をしてください。
5、解雇予告された場合の相談先と解決方法
解雇予告された場合、会社が主張する理由におかしな点がないか、解雇を受け入れる・拒否する場合には何をしたらいいのかなど、悩むことも多いでしょう。
一人で判断し、対応するのは困難なこともあるでしょう。まずは専門の窓口や専門家に相談をしましょう。
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(1)都道府県の労働局
都道府県の労働局では「総合労働相談コーナー」などを設置し、様々な労働問題の相談を受け付けています。
また労働局には「個別労働紛争解決制度(あっせん)」があり、紛争調整委員会が会社との仲立ちをして、解決を図ってくれます。
あっせん案も提示してもらえるため解決につながる可能性はあります。ただし、そもそも会社側が話し合いに応じる義務はなく、あっせん案も合意がなければ成立しません。 -
(2)労働基準監督署
労基署には解雇や賃金など労基法違反に関する問題や、労災保険などの相談ができます。
解雇予告手当の未払いや解雇が禁止されている労働者の解雇などについて、立ち入り検査や行政指導をすることもあります。 -
(3)弁護士
労働問題の解決にはや労働審判や民事訴訟といった方法もあります。
これらは裁判所を介した手続きとなるため、法律の専門家である弁護士からのサポートがなければ円滑に進めることは難しいでしょう。
弁護士は会社との交渉から労働審判、訴訟まで、幅広く対応してくれます。
6、まとめ
突然解雇予告をされると、対応方法がわからず困り果ててしまうこともあるでしょう。
一人で悩んでいると、あっという間に解雇日がきてしまうかもしれません。
ベリーベスト法律事務所・金沢オフィスの弁護士は、解雇予告でお困りの方のご相談に真摯に対応します。納得がいく解決となるようサポートしますので、解雇予告されたらすぐにご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています