残業代請求をするなら知っておきたい時効について金沢オフィスの弁護士が解説

2018年08月17日
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残業代請求をするなら知っておきたい時効について金沢オフィスの弁護士が解説

入社以来ずっと残業代が支給されていないという方もいらっしゃるかと思います。あるいは、既に会社を辞めてしまったけど、残業代が支給されていなかったという方もいらっしゃるでしょう。残業代が適切に支給されていなかった場合には、残業代を請求することをお考えかもしれません。では、未払いの残業代は、いつの分まで遡って請求できるのでしょうか。

1、残業代の請求に時効はある?

  1. (1)残業代が請求できるのは過去2年分まで

    • 労働基準法第115条
    • この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によって消滅する。


    残業代は、「賃金」の請求権ですので、2年間で時効によって消滅します。そして、残業代請求権を行使できるのは各支払日ごとになりますので、賃金支払日から起算して2年で消滅時効にかかることになります。

    少し分かりにくいので、次の例をみてみましょう。

    たとえば、Aさんがある美容室で2012年から6年間働いているとします。毎月25日に給与が支払われますが、過去6年間残業はしているのに、一度も残業代が支払われていません。

    この場合、過去6年間残業していたとしても、原則として過去2年分しか残業代を請求することはできません。たとえば、2016年6月25日に支払われるはずであった残業代は、2016年6月25日から起算して2年後の2018年6月25日までに「裁判上の請求」などをしなければ時効によって消滅してしまい、以後請求できなくなってしまうということになります。

  2. (2)2年前より前に発生した残業代の請求は不可能?

    残業代請求権の時効は原則として2年ですが、例外的に時効が延びる場合もあります。

    ●不法行為に該当する場合
    ただし、不払いが不法行為に該当するような場合は、不法行為の時効期間である3年間の未払いの残業代が認められる可能性がありますが、個別具体的な判断を要しますので、弁護士に相談することをお勧めします。

    ●時効を中断した場合
    時効の中断とは、それまで進行していた時効期間をリセットすることです。未払い残業代が発生した日から起算して2年以内に時効を中断する措置をとっていれば、時効期間がストップし、結果として2年分以上の残業代も請求できる可能性があります。


    時効を中断するには、訴えの提起を行うなど、裁判上の請求手続きをすることが必要です。また、会社が未払い残業代について支払いの猶予を求めてきたりした場合には、会社が債務を承認したとして、時効の中断の効果が得られます。

2、時効を止める・中断させる方法

時間が経つにつれ時効によって消滅してしまう残業代をより少なくするためには、具体的にはどのような方法があるのでしょうか。

  1. (1)内容証明郵便を会社に送る

    内容証明郵便とは、いつ・どのような内容の文書が誰から誰宛てに差し出されたかということを、郵便局が証明してくれるものです。

    会社に内容証明郵便を送ると、未払い残業代を支払うよう「催告」したとされるため、時効の進行を6ヶ月間止めることができます。
    また、内容証明を送っておけば、未払い残業代を請求するための文書を送ったということが証明されるので、会社側が「そのような文書は届いていない」などという主張をすることはできなくなります。

    ただし、「催告」をしてから6ヶ月以内に、調停や訴訟の申立てといった裁判上の請求を行わなければ完全に時効を中断することができないことには、注意が必要です。

  2. (2)訴訟を提起する

    未払い残業代の請求に会社側がどうしても応じようとしない場合には、裁判所に訴訟を提起することもできます。ただし、訴訟を提起する際には残業していた時間などを示す客観的な証拠が必要となることに留意しておくことが必要です。

    判決が確定すると、判決書に基づいて強制的に執行することができるという強力なメリットがありますが、紛争解決のために時間がかかるというデメリットもあります。

3、弁護士に相談した場合の流れ

  1. (1)法律相談

    まずは、弁護士に相談します。ベリーベスト法律事務所では、労働問題についていつでも気軽にご利用いただけるよう、何度でも60分間無料の法律相談を実施しております。また、遠方の方などご来所が困難な方には、お電話での相談も承っています。

    このとき、タイムカード・労働条件通知書などの資料がございましたら、相談時にお持ちいただくと話がスムーズに進むでしょう。それらの資料がない場合は、出社時間や帰宅時間を手書きで記したメモでも構いません。

    弁護士がお客様のお話をじっくり伺い、経緯や現在の状況を踏まえたうえで、最適な解決方法をご提案いたします。

  2. (2)計算及び交渉、訴訟提起

    お手元の資料で残業代を計算するのに十分な証拠がそろっていれば、残業代の金額を計算します。お手元の資料だけでは残業代の計算ができない場合には、会社に資料の開示を求めます。計算ができれば、弁護士が会社と一定の残業代を支払うように交渉します。相手方が応じるようであれば、合意書を作成します。

    相手方が交渉に応じないなど交渉がまとまらない場合は、裁判所へ訴訟提起します。
    訴訟では、残業代が発生していたことを示す客観的な証拠を基に、双方が主張を交わし、裁判所に判断を求めます。その中で、和解で終わるケースもありますし、判決が言い渡されるケースもあります。

4、まとめ

未払いの残業代がある場合、原則として、請求できる残業代は過去2年間分に限られます。しかし、内容証明郵便を送って会社に対して催告する、訴訟を提起するなどの適切な措置をとれば、時効をリセットすることができます。
もし未払いの残業代が発生し続けているような状況であれば、出来るだけ早く弁護士に相談し、適切な措置をとることがベストな方法といえます。その際、ベリーベスト法律事務所 金沢オフィスにご相談いただければ、担当弁護士がお客様に代わりスピーディーに問題解決ができるよう、尽力いたします。一人で悩まず、まずはお気軽に当事務所までご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています