残業代請求は退職後でも大丈夫?金沢オフィスの弁護士が解説

2018年08月27日
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残業代請求は退職後でも大丈夫?金沢オフィスの弁護士が解説

金沢は加賀百万石の城下町として繁栄し、北陸の中心地として古くから商業が発達してきました。そのため、現在も第三次産業の割合が大きく、第三次産業の代表である美容・アパレル・スーパーなどのサービス業に従事する人々も多くいます。
もし、残業代が支払われずにサービス残業をさせられている場合、退職後でも残業代の請求はできるのでしょうか。また、退職後に残業代を請求することでメリットやデメリットはあるのでしょうか。本記事では、それらについて考えていきたいと思います。

1、退職後にも残業代の請求は可能?

  1. (1)退職後に残業代の請求はできる?

    サービス残業をしていても、周囲の目や上司の評価や今後の立場などを考えると、会社に在職している間は、なかなか残業代を請求できないという場合も多いでしょう。そのような状況のまま退職した場合には、退職後であっても残業代の請求ができるかは気になるところだと思います。

    結論としては、退職後も残業代の請求はできます。退職後であっても、後に述べる時効に注意すれば、特に制限や規制等なく、残業代の請求をすることができるのです。
    これは、残業代も労働の対価である賃金なので、労働者は当然に請求する権利を有し、その権利は、退職前退職後を問わず行使できるものであるためです。
    なお、残業代のおおまかな金額の計算については、こちらをご覧ください。

  2. (2)請求できるのはいつまで?

    労働基準法上、残業代請求権は、その残業代が支払われるべき給与支払日から2年で時効によって消滅することになっています。つまり、退職直後であれば2年分全額請求できますが、請求するタイミングが遅くなればなるほど、請求できる残業代の金額は少なくなってしまいます。会社側に残業代を全額支払ってもらうためにも、未払い残業代の請求は1日でも早く行うことが重要です。

  3. (3)時効を中断することもできる

    ただし、それまで経過した時効期間をリセットする「時効の中断」という手段をとることもできます。時効を中断する方法には、裁判上の請求のほか、差押、承認などがあります。裁判上の請求等が間に合わない場合は、相手方に裁判外での請求をする「催告」という方法をとれば6ヶ月間は時効を中断させることができますが、6ヶ月以内に裁判上の請求等をしなければ時効が完成してしまいます。また、催告を行う場合は、通常、証拠として残すために内容証明郵便により行います。

2、請求するなら退職前と退職後のどちらがよい?

残業代は退職前・退職後に関わらず請求することができますが、退職前・退職後で残業代を請求するメリットとデメリットには、違いがあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。

  1. (1)退職前に残業代を請求するメリット

    退職前(在職中)に残業代を請求するメリットには、以下のようなものがあります。

    • 退職前は残業時間を証明するために必要なタイムカードやIDカードのログ、パソコンのログイン記録などにアクセスしやすいため、証拠集めが比較的容易である。
    • 残業代が毎月発生していれば、請求のタイミングによっては、退職前の方が請求できる残業代が多くなる可能性がある。
  2. (2)退職前に残業代を請求するデメリット

    退職前(在職中)に残業代を請求するデメリットには、以下のようなものがあります。

    • 会社で報復人事を受けたり、不利な立場に立たされる等、会社側からの待遇が悪くなったりする可能性がある。
    • 急な配置転換や異動を命じられる可能性がある。
  3. (3)退職後に残業代を請求するメリット

    退職後に残業代を請求するメリットには、以下のようなものがあります。

    • 職場での立場や会社からの冷遇などを気にする必要がない。
    • 遅延損害金を請求する際、退職日(退職日の後に給与支払日が来る場合は当該給与支払日)の翌日から年率14.6%で請求できる(ただし、支払を遅滞している賃金の存否について、合理的な理由により裁判所又は労働委員会で争っている間の期間を除く)。
  4. (4)退職後に残業代を請求するデメリット

    退職後に残業代を請求するメリットには、以下のようなものがあります。

    • 残業時間を立証するためのタイムカードやパソコンのログなどの証拠資料を集めるのが難しくなる。
    • 未払い残業代の請求が遅れれば遅れるほど、消滅時効にかかってしまい請求できる金額が少なくなる可能性がある。

3、まとめ

残業代が未払いになっている場合は、退職前・退職後に関わらず請求することができます。ただし、残業代は消滅時効によって給与支払日から2年で請求できなくなってしまうので、退職後は1日でも早く残業代の請求をするようにしましょう。
また、残業代を請求するためには、客観的な証拠を提示して自ら残業時間を立証しなければなりません。しかし、タイムカードやシフト表、パソコンのログなどは退職後には入手できない可能性が高いので、退職後に残業代を請求する場合は、在職中のうちにできる限り証拠資料を揃えておきましょう。証拠資料は原本ではなく、コピーでも構いません。
退職後に請求するとなると、残業時間を立証するための証拠資料を収集することが難しくなってしまうため、注意が必要です。この場合、ベリーベスト法律事務所 金沢オフィスの弁護士にご相談いただければ、お客様に代わって会社側にタイムカードなどの資料を開示するように請求することもできます。

当事務所では、担当の弁護士がお客様から未払い残業代が発生した経緯や現在の状況についてじっくりお話を伺い、それらをふまえて最適な問題解決プランをご提案します。平日夜間や土日の法律相談も対応可能ですので、未払いの残業代請求を検討していてお困りの際は、遠慮なくベリーベスト法律事務所 金沢オフィスまでご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています