【後編】初犯でも実刑になる? 刑事事件の流れとすべきことを弁護士が解説

2019年09月30日
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【後編】初犯でも実刑になる? 刑事事件の流れとすべきことを弁護士が解説

金沢でも、残念ながら犯罪は起きています。多くの方にとって、犯罪はいかに巻き込まれないようにするかを心掛けるものかもしれません。そのため、実際にあなた自身やあなたの家族が罪を犯してしまったとき、どうしたらいいのかご存じないのではないでしょうか。

そこで前編では、逮捕後の流れから、刑事事件で使われる基本的な単語の説明を中心に行いました。後半は、初犯でも実刑になるケースから、前科がつくデメリット、さらには被疑者になったときとるべき行動などについて、ベリーベスト法律事務所 金沢オフィスの弁護士が解説します。

3、初犯でも実刑になるケースとは

初犯でも実刑となる可能性が高いケースは以下のとおりです。

  • 殺人罪(決定刑の最下限は5年以上の懲役)や強盗罪(決定刑は5年以上の有期懲役)など、そもそも法定刑の最下限が3年を超える犯罪
  • その他の罪であっても、3年を超える懲役や禁錮の判決が下った場合

たとえ殺人などの重大事件でなくても、動機があまりにも悪質であり、さらに再犯が見込まれるなどの場合は、初犯でも実刑判決が下される可能性があります。

なお、「執行を猶予することができる」と定められている条件は、刑法第25条で定められています。具体的には、前に禁固以上の刑に処せられたことがなく、かつ3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金刑となる場合などであれば、判決に執行猶予がつく可能性があるといえるでしょう。

4、前科がついてしまうデメリットについて

先述したとおり、有罪判決が確定すると前科がつきます。前科は戸籍や住民票、住民基本台帳などに記載されるものではありません。

しかし、前科がつくことにより以下のデメリットが発生します。

  • 検察庁が作成・管理する前科調書に、一生名前が残る
  • 後日に別の事件で逮捕された場合、初犯ではなく前科がある事実が量刑などに影響を及ぼす可能性がある
  • 公務員など一部の職種への就職や一部の資格の取得ができなくなる
  • 前科がある人の入国を禁止、あるいはビザの提出を入国の条件としている国がある
  • 履歴書に「賞罰の有無」を書く欄があれば、前科の事実を記入しなければならない

5、前科をつけないためには逮捕後すぐの行動が重要

もし身内の方が逮捕されてしまったら、すぐに刑事事件に関して知見が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は逮捕されてしまった人が有罪となり前科がつくことを防ぐために、以下のような弁護活動を行います。

  1. (1)逮捕直後の面会

    先述のとおり、逮捕されてから少なくとも72時間が経過するまでは、親族であろうと逮捕された人に面会することはできません。逮捕された人やご家族の心境は、相当に不安なものでしょう。

    ただし、弁護士はこの期間中も逮捕された人と面会することが可能です。弁護士は逮捕直後すみやかに面会することで、今後想定される取り調べや黙秘権など、被疑者が持つ権利など、アドバイスを行います。また、逮捕された人とその家族の橋渡しとして、ご家族に逮捕された人の状況をお伝えします。

  2. (2)捜査機関との交渉

    初犯の人が前科がつかない微罪処分や不起訴処分を得るために重要なポイントは、被疑者に有利な情状を捜査機関に適切に伝えることです。

    しかし、被疑者に有利な情状を適切に伝えることは、たとえ悪意のない過失による事件だったとしても、逮捕された本人が捜査機関に伝えることは難しいケースがあります。

    しかし、弁護士であればこれまでの経験を活かし、逮捕された人に代わって捜査機関が納得するように客観的な事実を示しながら前科がつかない処分を得るための交渉を行うことが可能です。

  3. (3)被害者と示談交渉

    示談とは、民事上あるいは刑事上の争いごとにつき、当事者同士の話し合いにより解決を目指すことです。特定の被害者がいる刑事事件においては、被害者へ謝罪するとともに損害賠償などを行い、被害者から被害届や告訴の提出を中止あるいは取り下げて(取り消して)もらうことを目指すケースが一般的です。

    警察や検察、裁判所は、被害者の処罰感情を重視する傾向があります。早期の示談成立がかなえば、早期釈放や不起訴となる可能性を高めることができるのです。しかし、加害者本人はもちろんのこと加害者家族では、被害者と示談交渉を行うことが難しいケースは少なくありません。捜査機関は被害者の情報を加害者側に教えることはないため、そもそも当事者だけでは示談交渉自体ができないことがほとんどです。

    しかし、交渉経験が豊富な弁護士であれば、被害者と加害者の間を仲介し、心情を踏まえた示談交渉を行うことができます。

6、まとめ

繰り返しになりますが、逮捕されてしまった初犯の方に前科がつかないようにしたいのであれば、できるだけ早期に弁護士に相談してください。

ベリーベスト法律事務所 金沢オフィスでは、刑事事件の弁護活動対応の経験が豊富な弁護士が相談を受けつけています。あなたの大切な方が逮捕されてしまったときや、あなた自身が逮捕されてしまう可能性があると感じている場合、すでに警察から連絡が来ているときなど、できるだけ早急にご連絡ください。初犯で逮捕されてしまった人に前科がつかないように、ベストを尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています