お店の忘れ物をうっかり持ち去ったら逮捕? 置き引きの罪について解説
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令和元年、石川県の刑法犯罪・市町別認知件数は4508件でした。その内、金沢市は2225件と約半数を占めており、さらに非侵入系の窃盗犯罪は1471件でした。
実際に多く発生している窃盗犯罪ですが、たとえば他人の忘れ物を持ち去ると、すぐに置き引きの罪に問われるのでしょうか。店先で見つけた人の忘れ物を、交番へ届けようとそのまま持ち帰ってしまうこともあるかもしれません。うっかりミスに気がつき、すぐに交番へ届けようと思っても、万が一罪に問われたらと心配になるでしょう。
本記事では、置き引きで罪に問われる場合や、逮捕を回避できる可能性などについて、ベリーベスト法律事務所 金沢オフィスの弁護士が解説します。
1、どのようなケースが「置き引き」とされるのか?
まずは、置き引きとは何か、どのようなケースで置き引きになるかについて解説します。
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(1)置き引きとは?
置き引きという言葉はよく耳にするかと思いますが、お店などに置いてある他人のお金や財布、カバンを断りもなく持ち去る行為で、窃盗罪または遺失物等横領罪に当たる犯罪です。
飲食店やスーパー、ショッピングセンター、パチンコ店などの店舗だけでなく、プールやスポーツジム、公衆トイレ、銭湯などでも置き引きは発生します。また、自転車やバイクのかごに置いてあるバッグや金融機関のATMに取り忘れた現金を持ち帰る行為も置き引きに該当します。 -
(2)置き引きになるケース
置き引きが窃盗罪に当たるとされた代表的なケースを見ていきましょう。
- ① バスに乗るための行列に並んでいた人が、カメラを地面に置いたまま前に移動してしまったところを狙って、犯人がそのカメラを持ち去ったケース
- ② スーパーの店内で買い物をしていた女性が財布を置いて、少し目は離したすきに財布がなくなったケース
- ③ 友人を駅の改札口まで送るため、公園のベンチの上にポシェット置き忘れたまま、公園出口にある横断歩道橋を上ったところで、犯人がポシェットを持ち去ったケース
2、置き引きは窃盗罪? 罪の概要と量刑
置き引きをすると、どのような罪に問われ、量刑はどのくらいになるのでしょうか。
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(1)置き引きはどんな罪になる?
前に述べたとおり、置き引きをすると、窃盗罪または占有離脱物横領罪(遺失物横領罪)のいずれかの罪に問われます。
窃盗罪は、他人の占有している財物を盗むことで成立する犯罪です。一方、占有離脱物横領罪は、他人の占有を離れた物を持ち主に無断で持ち去ると成立する犯罪です。
すなわち、占有・管理がおよんでいるかどうかが分かれ目になります。被害品に対する占有・管理がおよんでいれば窃盗罪、占有・管理がおよんでいなければ占有離脱物横領罪です。
被害品の付近に持ち主が居なさそうだと思っても、他人の占有がおよんでいるということはあります。
例えば、スーパーの店内にある忘れ物の財布は、たとえ落とし主が付近に居なくなってしまっていたとしても、スーパーの管理下にあるとされます。スーパーの忘れ物を持ち帰る行為は、遺失物等横領罪ではなく、窃盗罪になります。 -
(2)窃盗罪が成立するための条件
窃盗罪は、ただ他人の物を持ち去るだけでは成立しません。盗んだ物を自分の所有するものと同じように、経済的用途に従って使用したり換金したりする意思が必要です。
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(3)窃盗罪の量刑はどのくらい?
窃盗罪は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金で処罰されます。
3、置き引きで逮捕されてしまった後の流れ
窃盗罪で逮捕された場合、どのような流れで手続きが進んでいくのか見ていきましょう。
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(1)逮捕
窃盗罪で警察に逮捕されると、取調べの上、48時間以内に検察庁に送致されます。被害額がわずかであれば、釈放されるケースもあります。
逮捕されている間、家族であっても原則として面会できません。どうしても伝えたいことがある場合は、弁護士に依頼して接見してもらいます。 -
(2)勾留
検察庁へ移送されると、検察官は24時間以内に裁判官に「勾留」を請求するかどうかの判断をします。勾留とは、検察官が被疑者を取り調べるため身柄を拘束することです。
勾留するかどうかは裁判官が決定しますが、最初に10日間、さらに10日間にわたって勾留されるおそれがあります。 -
(3)起訴~裁判
検察官が起訴すると、被疑者から被告人と呼ばれる立場になります。その後は、刑事裁判の手続きに従って手続きが進められます。
起訴のうち、「公判請求」となれば、公開にて行われる裁判で判決が宣告されるまで、原則的には引き続き勾留されることになります。帰宅を希望する場合、保釈請求を行い、認められなければなりません。
通常の刑事裁判は、起訴からおよそ1か月後に開始されますが、判決が下るまでには数か月以上かかることもあります。
他方、「略式命令請求」となれば、裁判官が書類だけで罪責を判断し、罰金刑が下されます。略式命令請求された場合、直ちに釈放されます。ただし、たとえ罰金刑でも前科がついてしまいます。
4、置き引きによる逮捕が不安な場合の対処法
お店の忘れ物を持ち帰り、逮捕が心配な場合にとるべき行動はどのようなものがあるのでしょう。
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(1)できるだけ早く警察へ届け出ること
お店に置いてあったものを自宅へ持ち帰り、警察へ届ける意思はあったが、忘れてしまった場合などには、窃盗罪に問われる可能性はあります。
ただし、窃盗罪が成立するためには、自分のものであるかのように振る舞い、経済的効用に従って利用・換金する意思が必要です。この意思がない限り、窃盗罪が成立する可能性が低くなります。
ただ、そのような意思はなかったとしても、長期間にわたり自宅に物を保管していれば、器物損壊罪に問われる可能性があります。
どのような理由があろうとも、持ち帰った物をいつまでも自宅へ置いておくと犯罪になるおそれがあるので、できるだけ早く警察へ届けましょう。 -
(2)弁護士がいれば事情を説明してくれる
警察へ行き、万が一逮捕されたらと不安な方もいるでしょう。
そのような場合は、弁護士へ相談をおすすめします。警察へ行く際に弁護士が同行すれば、事情を説明し、適切な対応をしてくれます。話も聞かれずに、いきなり逮捕されるような可能性は低いでしょう。
5、まとめ
警察に届けるつもりで忘れ物を持ち帰ったのに、うっかり警察へ届ける忘れることがあるかもしれません。
置き引きをするつもりがなくても、いつまでも自宅に保管しておくと窃盗罪で逮捕されるおそれがあります。できるだけ早く警察へ届けるようにしましょう。少しでも不安があるようでしたら、弁護士に相談してみてください。
置き引きによる逮捕に不安をお持ちの方は、ベリーベスト法律事務所 金沢オフィスまでご連絡ください。窃盗事件の対応経験が豊富な弁護士が最善のアドバイスをさせていただきます。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています