痴漢の再犯で家族が逮捕された!処分の見通しと家族ができることを金沢市の弁護士が解説
- 性・風俗事件
- 痴漢
- 再犯
家族が痴漢などの性犯罪の加害者になってしまったら家族としてはとてもショックを受けることと思います。それが再犯であれば、よりショックは大きいことでしょう。
初犯では不起訴や罰金刑で済んだものが、再犯の場合は、より重い処分が言い渡される可能性も高くなります。
今回は、家族が痴漢の再犯で逮捕されてしまったときの刑事手続の流れや処分についてなど、家族が知っておくべきポイントについて解説していきます。
1、そもそも「再犯」とは
刑法は、「再犯」について、対象を次のように規定しています。
刑法第56条第1項
懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。
そして、その効果については、次のように規定しています。
刑法第57条
再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の二倍以下とする。
刑法上は上記のような定めがなされているとはいえ、一般的には、一度罪を犯した者が再度罪を犯した場合のように広く捉えられることが多いです。
このコラムでは、このように広く捉えた場合の再犯について、ご説明します。
2、痴漢の再犯で逮捕された後の流れ
痴漢(条例違反ないしは強制わいせつ罪)で再犯してしまい逮捕された場合、逮捕から起訴までの流れは初犯と違いはありません。
逮捕後48時間以内に検察官に送致され、検察官は被疑者を受け取った時から23時間以内に勾留請求するか否かを判断します。
勾留請求がなされ、裁判官が勾留を認めると、原則10日、最大20日間の勾留が認められます。
3、痴漢の再犯事案の処分
-
(1)再犯の場合は、処分が重くなる傾向がある
痴漢の初犯については、正式起訴されるのは、態様が悪質であるとか、否認をしている場合などに限られ、不起訴か略式起訴で罰金の処分で終わる場合も多いです。仮に、正式起訴されても、罰金刑か執行猶予付懲役刑になることが多いなので、初犯で逮捕されて実刑になるという可能性はそれほど高くありません。
ただ、過去に痴漢で逮捕されたことがある場合は、前科からどれくらい期間が空いているかなど個別事情によっても異なりますが、より処分が重くなる傾向にあります。過去に略式起訴(罰金刑)となっている場合は、今度は正式起訴される可能性が出てきますし、過去に正式起訴されて罰金刑や執行猶予付判決を受けている場合は、実刑になる可能性が高くなります。 -
(2)処分に大きく影響を与える被害者との示談
その他に処分に大きく影響するのが示談の成立の有無です。痴漢は、被害者が存在する犯罪ですから、再犯の場合であっても、被害者との間で示談が成立しているかどうかという点が重要になります。
再犯の場合であっても、被害者との示談が成立し、被害者の許しが得られるようであれば、不起訴処分に終わることや、前に執行猶予付きの懲役刑を言い渡されている場合でも、また執行猶予付きの判決となることもあります。ただし、執行猶予期間中の再犯の場合は、再度の執行猶予が認められるのは稀ではあります。 -
(3)再犯の場合、さらなる再犯に及ばないための対策も必要
痴漢の再犯で逮捕された場合、検察官としては、ここで不起訴にしてしまうと、また再犯に及ぶのではないかということを考えます。そのため、家族としては当事者がなぜ再犯に及んでしまったのかという原因をしっかりと把握して、さらなる再犯に及ばないような状況をつくらなければなりません。
職場や家庭内などでのストレスが原因の場合は、転職や引っ越しなど、ストレスを回避する策を考えることが大切です。通勤方法も変え、物理的に痴漢をできないような状態にすることも考えられます。さらに、本人が性衝動への依存症を患っていると思われる場合は、専門的な治療を受けさせるなどすることも重要です。
このように、逮捕された家族がさらなる再犯に及ばないような対策に協力して、それを検察官にしっかりと説明し、理解してもらうことも不起訴につなげるための重要な要素です。
4、家族が痴漢の再犯で逮捕されたときの相談先
痴漢の再犯で逮捕されてしまうと、初犯の場合に比べて起訴される可能性も高くなりますし、実刑になる可能性も高くなります。
それを防ぐためには、被害者との示談と再犯の防止対策が重要です。ただし、被害者との示談は被疑者側の家族などからでは応じてもらえないことが多いですので、弁護士に相談されることをおすすめします。
もし、家族が痴漢の再犯で逮捕されてお困りであればベリーベスト法律事務所 金沢オフィスまでご連絡ください。示談の交渉なども迅速に対応いたします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています