夫が公然わいせつ罪で逮捕された! これからどうなる? 逮捕後の流れを解説

2018年10月04日
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夫が公然わいせつ罪で逮捕された! これからどうなる? 逮捕後の流れを解説

夫が帰ってくる時間にあわせて夕飯の準備をしていると、突然警察からの1本の電話。
「ご主人を公然わいせつ罪で逮捕しました」の連絡に、頭が真っ白!
どうしたらいいのかわからないけど、デリケートな問題だけに誰かに相談することも難しい……。

公然わいせつ罪で夫が逮捕されたと連絡が来れば、誰でも驚くと同時に動揺してしまうことでしょう。しかし、寝耳に水の状況であっても、逮捕後の流れや刑罰などについてできるだけ知っておきたいものです。できるだけ早く自由の身となり、普段の日常を取り戻すために、知っておきたい基礎知識と逮捕後の流れについてお届けします。

1、公然わいせつ罪による逮捕後の流れ

警察から公然わいせつ罪の被疑者として逮捕されたあとの流れについて簡単にご紹介します。

  1. (1)警察による逮捕とその種類

    逮捕には、大きく分けて、「通常逮捕」と「現行犯逮捕」、「緊急逮捕」があります。通常、「通常逮捕」と「現行犯逮捕」のいずれかによることが多いと思われるため、今回はこの2つについて説明していきます。

    両者の大きな違いは、逮捕するタイミングにおける「逮捕状」の有無です。通常逮捕をするためには裁判官が事前に発布した逮捕状が必要です。「後日逮捕」とも呼ばれていて、たとえば以下のようなケースが想定されます。

    公共の駐車場に停めた車内で自慰行為をしていたところを通行人に見られたが、その場から逃げ去った。しかしナンバープレートを覚えていた目撃者が警察に通報し、後日警察から逮捕された。

    しかし、「現行犯逮捕」は逮捕状がなくても逮捕ができます。行為を目撃した被害者などが警察に通報し、現場に駆けつけたような場合では、公然わいせつ罪にあたる行為中もしくは直後に逮捕されることがほとんどであり、公然わいせつ罪にあたる行為を行った当日に逮捕されることになります。

  2. (2)勾留

    公然わいせつ罪に限らず、逮捕された場合、72時間が最初の区切りとなります。

    警察は、逮捕後48時間までに、被疑者を送検するかどうかを判断しなければなりません。その後、身柄が検察へ送検された場合、検察官が24時間以内に身柄を勾留するかどうかの判断を行います。検察でも警察同様に取り調べが行われます。

    つまり、被疑者として逮捕されると最長3日間は自宅に戻ることができません。もちろん仕事も休む必要があります。さらに、この間は、家族とも面会できないことが多く、この場合、面会できるのは弁護士だけです。

    また、定職についているなど身元がはっきりしていて、逃亡や証拠隠滅の危険性がないような場合には、釈放されて在宅事件となり、その後略式起訴となるケースもあります。
    一方、検察が勾留期間の10日間で取り調べが終わらないと判断した場合は、さらに10日間の延長申請がなされ最長20日間身柄が拘束されるケースもあります。

    ご家族であれば誰もが「できることなら勾留されず、早期に自宅に帰らせ、日常生活に戻してあげたい!」と思われるでしょう。前述したとおり、逮捕されている当人は、弁護士以外の人物と自由に話をすることさえできません。いかにご家族が、弁護士の力を借りて動くかにかかっているといえます。

  3. (3)起訴・不起訴

    検察による捜査が終わったあと、起訴処分か不起訴処分となるかが決定されます。

    起訴されてしまうと、裁判となり、有罪の場合は何らかの刑が科せられることになります。不起訴処分の場合は、裁判にかけられたりせずに釈放され、自由の身に戻ることが可能です。なお、不起訴処分の場合、前科はつきません。

    平成29年版 犯罪白書によると、公然わいせつ罪における検挙率は64.6%です。そのうち起訴される率は全体でおよそ57%、半数を超える結果となります。

    起訴の内訳をみてみますと、略式命令請求がおよそ77%、公判請求がおよそ23%という結果となっており、多くの場合が略式起訴となります。

    略式起訴の場合は、法廷で審理が行われるのではなく、書面での審理のみが行われるため、手続は比較的簡易ですが、裁判官の前で言い分を述べたりする機会はないため、略式手続によることについて被告人の異議がないことが要件となっています。また、略式命令によって科される刑は、一定額以下の罰金又は科料になります。そして、略式命令の内容に不服がある場合は、略式命令が告知されてから14日以内であれば、正式裁判を請求することもできます。

2、刑事事件となる公然わいせつ罪の種類と対応のポイント

続いては公然わいせつ罪にあたる行為と処罰について、またご家族にできることや対応のポイントについて解説します。

  1. (1)公然わいせつ罪にあたる行為とは?

    公然わいせつ罪は、刑法第174条で規定されていて、公の場などの不特定多数の人が認識できる状態においてわいせつな行為をした場合に犯罪が成立します。以下に、公然わいせつ罪にあたる可能性がある行為をご紹介します。

    • 性器や臀部などを公園などで露出した
    • 公共の駐車場の車内や漫画喫茶などで自慰や性交行為に及んだ
    • インターネットのリアルタイム動画配信で全裸の姿を放映した


    場所は公園や路上など誰もが目にする場所に限定されません。閉鎖的に感じる車内や漫画喫茶などであっても、他人の目に触れる可能性は十分あるため、「公然」にあたる可能性があります。さらに、インターネットを利用したリアルタイム動画配信についても、誰もが見ることが可能であることから、公然わいせつ罪が成立しうるのです。

  2. (2)公然わいせつ罪の特徴

    公然わいせつ罪は、社会における健全な性秩序などを維持するために規定されたものです。痴漢や性的暴行などといった、性的自由や個人の尊厳を踏みにじる性犯罪とは異なり、特定の被害者がいないケースは少なくありません。

    被疑者が、特定の誰かに向かって故意に公然わいせつ罪にあたる行為を見せつけたような場合は、目撃者が被害者だと考えられることもあります。この場合は示談が可能ですが、被害者と被疑者やご家族が直接交渉を行うとこじれる可能性が高くなります。そこで、専門家である弁護士が間に入って示談交渉することで、早期解決を目指す必要があります。

    ただし、公然わいせつ罪においては前述のとおり、特定の被害者がいないときなど、示談を行うことが難しいケースがあります。そこで、刑を少しでも軽くするために「贖罪寄附(しょくざいきふ)」を行うという方法も考えられます。

    贖罪寄附とは、弁護士会や各種の団体などに対して、犯罪行為への反省の意を示すために行う寄附です。特定の被害者がいない場合や、被害者に被害弁償を受領してもらえない場合などに用いられ、情状面で有利に働きかける方法のひとつです。ただし贖罪寄附を行えば必ず量刑が軽くなるとはいえません。贖罪寄附を検討している場合も、専門家である弁護士などに相談して進めることが大切です。

  3. (3)公然わいせつ罪で受ける処罰と家族にできること

    公然わいせつ罪で有罪判決を受けた場合の処罰を、厳しい順に紹介します。

    • 懲役(ちょうえき)1~6ヶ月以下の身柄拘束
    • 罰金(ばっきん) 1万円以上30万円以下
    • 拘留(こうりゅう)1日以上30日未満の身柄拘束
    • 科料(かりょう) 1000円以上1万円未満


    刑事事件で起訴されてしまった場合、99%以上が有罪となると言われており、この場合、前科がつくことになります。
    しかし一方で、前述の犯罪白書によると、約43%の方が不起訴となっているということになります。起訴されなければ前科はつきません。本人はもちろん、家族にとっても、前科がつくことはできるだけ避けたいものでしょう。そのため、夫が公然わいせつ罪で逮捕されたときは、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

3、まとめ

夫が公然わいせつ罪で逮捕された場合の起訴までの流れと、妻が夫の早期釈放を目指してできることについてご紹介ましした。逮捕から勾留、起訴と段階がありますが、勤め先に知られないためにも勾留前の早期釈放を目指すことが大切です。また、勾留されたとしても、不起訴となれば前科がつかずに済みます。

公然わいせつ罪で逮捕されたことは、他人に話せないデリケートな問題だけに素人判断での対応は難しいものです。逮捕期間中も、勾留までの72時間がリミットとなり、同時にその間は、弁護士以外との面会ができないことがほとんどです。早期解決をはかるには、地元の安心できる専門家に相談することが近道でしょう。

ベリーベスト法律事務所・金沢オフィスは石川県金沢中警察署にも近いため、弁護士が迅速に対応することが可能です。まずはオフィスまでご相談ください。

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