過払い金返還請求は弁護士に依頼! でも、弁護士ってどうやって選べばいい?

2018年12月18日
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過払い金返還請求は弁護士に依頼! でも、弁護士ってどうやって選べばいい?

平成18年以降、「過払い金」の返還請求は数多く行われるようになり、今でも多くの方が「過払い金」の返還を求めて返還請求を行っています。
その際に、返還請求を弁護士に依頼するべきなのか、もしくは司法書士に依頼するべきなのかお悩みの方もいらっしゃるかと思います。
本記事では、過払い金返還請求を弁護士に依頼する際のコツについて解説します。

1、過払い金返還請求とは

貸金業法改正以前(平成22年以前)に借金をしていた方の中には、「過払い金」と呼ばれるお金が発生している可能性があります。過払い金はきちんと手続きをすれば戻ってくるお金ですが、そもそも過払い金とは何なのでしょうか。また、過払い金返還請求をすることでどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

  1. (1)過払い金とは

    過払い金とは、消費者金融やカード会社のキャッシングなどによる借金を返済する際に、払いすぎた利息のことを指します。一時期、「過払い金は今すぐ返還手続きを」などというテレビやラジオのCMがさかんに流れていたため、「過払い金」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。平成22年より前に高い利息で借金をしていた方の中には、過払い金が発生している可能性がありますので、心当たりのある方は、一度調べてみると良いでしょう。

  2. (2)過払い金が発生している理由

    過払い金が発生しているのには理由があります。かつて、日本には金利について定めた法律が「利息制限法」と「出資法」の2つ存在していました。利息制限法では上限金利が15~20%でしたが、出資法では29.2%という高い上限金利が設けられており、上限金利がダブルスタンダードになっていたのです。また、出資法と異なり、利息制限法には罰則がありませんでした。そのため貸金業者の多くは、後者のほうの利息で貸し付けを行っていました。この、利息制限法の利率15%~20%と、出資法の上限利率29.2%の範囲内の金利のことを「グレーゾーン金利」と言います。さらに、貸金業法では、利息制限法の上限利率を超えて支払いをした場合でも、一定の条件をみたしていれば、有効な債務の弁済とみなす「みなし弁済」規定を置いていました。

    ところが、平成18年1月に最高裁判所で、利息制限法の上限を超えた金利は、事実上強制されて支払った場合は無効であるとして、みなし弁済の成立を否定する判決が出たことをきっかけとして、貸金業法が改正され、上限金利が利息制限法上の15~20%で統一されました。そのため、それまで利息制限法上の金利より高い利息を払っていた多くの方々が、過払い金返還請求をするようになったのです。

  3. (3)過払い金返還請求をするメリット

    過払い金返還請求をすれば、利息を現行の利息に引き直して計算をすることで、払いすぎている利息が戻ってくる可能性があります。さらに、その戻ってきた利息を元本の返済に充てることで、借金を完済でき、なおかつ余剰金が出ることも珍しくありません。
    また、借金を完済している場合は、特に不利益を受けることなく返還請求手続きを行うことができます。

  4. (4)過払い金返還請求をするデメリット

    借金の残額があり、返済し続けている間に過払い金返還請求をすると、信用情報機関の異動情報にその旨が記載されてしまう可能性があります。そうなると、いわゆる「ブラックリストに載った」状態になり、一定期間ローンの借入やクレジットカードの新規作成ができなくなります。

  5. (5)消滅時効に要注意!

    過払い金返還請求ができるのは、最終取引日から10年間です。この間に返還請求をしなければ、取り戻せるはずの利息が請求できなくなってしまいます。消滅時効の起算日は、借金をした日ではなく、最後に借金を返した日となりますので、注意が必要です。

2、過払い金返還請求をするなら弁護士?司法書士?

過払い金を取り戻したいとき、相談する相手としては弁護士または司法書士が思い浮かぶでしょう。弁護士・司法書士どちらも、個人事務所として、また法人として債務整理や過払い金返還請求に力を入れているところも少なくありません。しかしその両者にできることには違いがあります。

  1. (1)弁護士や司法書士に過払い金返還請求を依頼するメリット

    弁護士や司法書士に過払い金返還請求について依頼すると、以下のようなメリットがあります。

    ■執拗な取り立てがストップする
    貸金業者には、毎日のように自宅や会社に電話やメールをしてきて、借金の返済を迫るところもあるでしょう。しかし、弁護士や司法書士が依頼を受けると、すぐに貸金業者に受任通知書を送付してくれるので、その時点で貸金業者からの取り立てがストップします。

    ■戻ってくるお金や借金残額がわかる
    弁護士や司法書士が、借入時の利息を現行の利息制限法上の利息に引き直して計算してくれるので、戻ってくる見込みの金額や残っている借金の額がわかります。

    ■自分で貸金業者と交渉する必要がない
    貸金業者への返還請求も弁護士や司法書士に一任すれば、自分で行う必要はありません。借入時の明細がない場合は、取引履歴についても併せて開示請求をしてくれるので安心です。

  2. (2)司法書士にできること

    司法書士は、もともと登記や供託などの業務を扱う役割を担っており、依頼者の代理人として交渉などを行うことは法律上制限されています。しかし、所定の研修を受けて試験に合格し、法務大臣の認定を受けている「認定司法書士」であれば、代理人として交渉や裁判を行うことが可能です。ただ、認定司法書士に扱える案件の訴額は140万円までと決まっているため、過払い金を計算した結果140万円を超えた金額が戻ってくると予想される場合は、認定司法書士でも依頼することは難しいでしょう。

  3. (3)弁護士にできること

    一方、弁護士の場合は代理人としてできる行為の範囲に制限はありません。法律相談や利息の引き直し計算はもちろん、依頼者の代理人として貸金業者との交渉にも対応することができます。また、交渉がうまくいかない場合は、調停や訴訟といった法的手段を取ることも可能です。訴額にも制限はありませんので、幅広い業務に対応することが可能です。

3、過払い金請求を依頼したいときの弁護士の選び方

「過払い金返還請求を弁護士に依頼しよう」と思い立っても、インターネットで検索すれば、「債務整理や過払い金返還請求はおまかせください」などとうたっている弁護士はたくさん出てきます。そのため、どの弁護士に依頼すればよいのかわからない方もいらっしゃると思います。ここでは、弁護士の選び方のポイントについてお伝えします。

  1. (1)債務整理を扱った経験が豊富

    まず見るべきポイントは、「債務整理や過払い金返還請求の経験が豊富かどうか」ということです。無料の法律相談などを利用して、その弁護士が過去にどれくらいの件数をこなしてきたのか、また過払い金返還請求を行ってそれぞれお金がいくら戻ってきたのかを訪ねてみましょう。経験が豊富であれば、きっと具体的な件数等を教えてくれるでしょう。

  2. (2)料金体系が明確

    料金体系が明確で明朗会計であることも重要なポイントです。利息の引き直し計算までは無料で行ってくれるところも多いですが、着手金や成功報酬がいくらかかるのか、何かあった場合に追加料金がかかるのかを、事前にはっきり伝えてくれるところを選びましょう。

  3. (3)担当弁護士本人が面談してくれる

    無料相談のときに、「弁護士は席を外している」「今忙しいので対応できない」などと言って、法律に関わる部分も事務員にしか応対させない法律事務所は要注意です。相談業務や代理人業務は、法律の資格を持った者以外はできないため、いつ行っても弁護士と直接会って面談ができないようなところは避けたほうが良いでしょう。

4、過払い金返還請求の流れと弁護士費用

実際に過払い金返還請求の手続きを行う場合、どのような流れで進んでいくのでしょうか。請求にかかる弁護士費用についても併せて見ていきましょう。

  1. (1)法律相談

    まずは事前予約の上、法律事務所に出向いて担当弁護士に過払い金返還請求について相談を行います。このとき、いつ・どの業者に・どれくらい借り入れをしたのかがわかる利用明細やメモなどがあるとわかりやすいでしょう。そして弁護士と面談をしたうえで、正式に依頼するかどうかを決めます。実際に依頼するとなったら費用について見積書をもらい、内容に納得すれば弁護士と委任契約を締結します。

  2. (2)過払い金の調査

    委任契約締結後、弁護士が各貸金業者に受任通知を送付し、同時に取引履歴の開示請求も行います。その履歴に基づき、現行の利息制限法に則って利息の引き直し計算を行い、過払い金がどの業者からどれくらい戻ってくるのかを調査します。

    現在借金を返済中の方については、いったん返済をストップしていただきます。弁護士が利息の引き直し計算をした上で、過払い金があるかどうか、あるとすればその過払い金を借金残額の返済に充当することで借金の元本がどれくらい減るのかを確認します。その後、過払い金返還請求を行います。

  3. (3)貸金業者との交渉

    依頼者が取引をしていたそれぞれの貸金業者に対し、過払い金返還請求を行います。交渉をした結果、相手方が和解案を提示してきたら、弁護士のアドバイス等を基に、和解に応じるかどうかを依頼者自身が決めます。もし和解案に応じられない場合や、そもそも業者側が交渉を拒否して交渉ができない場合は、過払い金返還訴訟を提起することになります。

    和解に応じる場合は、交渉開始から実際に過払い金が返還されるまではおおむね7ヶ月~1年ほどとなります。

  4. (4)裁判になったときは

    過払い金返還訴訟を提起する場合は、裁判所に申し立てを行うと1ヶ月後ないし1ヶ月半後くらいに第1回目の期日が指定されます。その後は実際に法廷で貸金業者側と争うことになりますが、判決を待たずに和解することも珍しくありません。和解をした場合は和解調書が、確定判決まで進んだ場合は判決書が作られます。

    その後、和解調書または判決書に従って、業者側が過払い金を返還します。しかし、業者側が返還に応じない場合は、和解調書や判決書を債務名義として強制執行を行うことになります。

    なお、裁判になった場合は、申し立てから過払い金が返還されるまでに半年~1年くらいの期間がかかることが多いです。

  5. (5)過払い金の回収・返金

    交渉または訴訟が終了した後、業者から過払い金が返還されます。業者によって実際に過払い金が入金されるタイミングは異なります。どの業者がいつ頃過払い金を入金してくるのかを知りたい場合は、弁護士に問い合わせてみれば、過去の事例からおおよその返還時期の目安を知ることができるでしょう。

    業者から入金があった後、成功報酬を差し引いて弁護士が依頼者の口座に残金を振り込むことで、契約は終了となります。

5、まとめ

過払い金返還請求には時効があります。もし、平成22年以前に高い金利で貸金業者から借入を行っていた経験のある方は、念のため弁護士に相談されることをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所 金沢オフィスでは、過払い金があると疑われる方には実際に利息の引き直し計算を行ったうえで過払い金の有無を確認しております。相談者様の秘密は厳守いたしますので、過払い金にお心当たりのある方は、ベリーベスト法律事務所 金沢オフィスまでお気軽にご相談ください。

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