内容証明で残業代請求するときの書き方や気をつけておくべきこと

2018年09月10日
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  • 金沢
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内容証明で残業代請求するときの書き方や気をつけておくべきこと

未払いの残業代を会社に請求する場合、初めに行うべきは内容証明による残業代支払請求の意思表示(催告)です。
もし、会社が不当に残業代を支払っていないのであれば、当然に請求する権利があります。
この記事では、内容証明の書き方や注意すべき点をお伝えします。

1、残業代請求における内容証明とは?

残業代請求の際に送付する内容証明とは、どのようなものなのでしょうか。また、内容証明はなぜ必要なのでしょうか。

  1. (1)内容証明とは

    内容証明とは、郵便局で郵便物を差し出すときに利用できるサービスのひとつで、いつ、どのような内容の文書が誰から誰あてに差し出されたか、ということを、日本郵便株式会社が証明してくれるものです。郵便物を送る際に、速達・書留・代金引換などのサービスを利用することがあるかと思いますが、これらと同じように、内容証明というサービスを利用することができるのです。
    では、残業代を請求する際になぜ内容証明が必要なのかというと、残業代を含む賃金請求権の消滅時効は2年ですが、2年が経過する前に残業代の請求(催告)をした上で、6ヶ月以内に裁判上の請求等を行えば、時効の進行を中断できるからです。

    時効を中断しなければ、交渉中であっても2年間が経過して時効が成立し、会社側が時効の援用をしてしまうと、その分残業代を請求できなくなってしまいます。

    ちなみに、

    「残業代を含む賃金請求権の時効の2年間」は、「支払われるべきだった給料日から2年間」のことを指します。(※退職金の時効は5年間です)よって、未払いの残業代を請求したい場合は、早めの対処が必要です。

  2. (2)内容証明の効力

    前述のように、内容証明は、いつ、どのような内容の文書が誰から誰あてに差し出されたか、ということを、日本郵政株式会社が証明してくれるサービスです。
    このサービスを利用することで、後々裁判になった場合でも「○○日に××という内容で請求を行っていた」という事実を証明できるようになります。

  3. (3)残業代の請求の際に、内容証明が必要な理由

    残業代を請求する場合、内容証明を送る必要な理由をまとめると、以下の通りです。

    ・後々、こちらの主張(○○日に××という内容で請求を行った、など)を証明するため
    ・賃金請求権の時効を中断するため


    残業代を請求する際、どちらも重要になってきます。「残業代が支払われるべきだった給料日から2年間で請求権は時効を迎える」ということも、合わせて知っておきましょう。

2、内容証明の書き方

内容証明の書き方は厳格に決まっています。正しい書き方をしなければ内容証明として受け付けてもらえません。ここでは、内容証明の書き方について解説します。

  1. (1)内容証明を作成するときの主なルール

    内容証明を作成する際は、細かなルールが定められています。
    内容は文書1通のみ。他のもの(図面・返信用封筒など)を同封することはできません。なお、用紙は特に決まっておらず、パソコン・ワープロでも手書きでも構いません。

    ②次の文字・記号によって記載されているもの。

    • 仮名
    • 漢字
    • 数字
    • 英字(固有名詞に限ります。)
    • 括弧
    • 句読点
    • その他一般に記号として使用されるもの


    一般書留とした郵便物であること。

    ④文字数・行数が以下の範囲内であること。

    縦書きの場合:1行20字以内、1枚26行以内
    横書きの場合:1行20字以内、1枚26行以内/1行13字以内、1枚40行以内/1行26字以内、1枚20行以内

    上記であればどれでも問題ありませんが、文字数の計算方法は、細かい決まりがあります。

    例えば、記号は1個1字として数えます。
    例)・% (1字)
      ・kg (2字)

    括弧は上下(横書きの場合は左右)を全体として1字とし、上(横書きの場合は左)の括弧の属する行の字数に含めます。
    例)・5日(水曜日) (6字)

    また、文字や数字を円などで囲んだものは、各文字と枠の合計で計算します。
    例)・① (2字)
      ・⑩ (3字)

    ただし、文中の序列を示す記号として使用されているものは、全体として1字と計算します。
    例)・(1)はじめに (5字)
      ・①経緯 (3字)

    ⑤用紙が2枚以上にわたる場合は、綴り目に契印を押します。

    ⑥訂正等がある場合があるので、差し出しの際は、念のため、内容証明郵便に押印したのと同じ印鑑を持参した方が良いでしょう。

    ※他にも様々なルールがあるので、一度郵便局のサイトを確認することをお勧めいたします。

  2. (2)内容証明に記載する内容

    内容証明の書き方はしっかりとルールがあるわけではありませんが、一般的に以下の順番で記載します。

    1. ①文書のタイトル
    2. ②会社との契約関係(いつ入社し、現在どのような立場なのか)
    3. ③通知内容(会社が労働者に対して割増賃金を払っていない旨等を記載)
    4. ④何年何月分の残業代を請求するのか及び請求金額(未払い残業代だけでなく、遅延損害金の利率も合わせて記載)
    5. ⑤支払い方法(銀行名や口座番号。給与振込口座でよければその旨を記載)
    6. ⑥支払い期限
    7. ⑦支払われなかった場合の対応方法(脅迫めいたことは書かない)
    8. ⑧日付
    9. ⑨相手方(受取人)の住所、氏名(相手方が法人の場合は住所、社名、代表取締役名)
    10. ⑩差出人の住所、氏名


  3. (3)記入例

    請求書
    私は、〇年〇月〇日に貴社に入社し、現在〇課に所属する者です。(〇年〇月〇日に退職した者です。)

    私は貴社に対し、平成〇年〇月〇日から同〇年〇月〇日まで、合計〇時間の下記のとおりの時間外労働等を提供しましたが、貴社は私に対し、各賃金支払期においてこれらに対する割増賃金を支払っておらず、その金額は計〇〇〇万〇〇〇〇円にのぼります。
    そのため、貴社に対し、時間外労働に対する割増賃金〇○○万○○○○円の支払いを請求します。

    時間外 ○○円×○○時間○○分×割増率=○○円
    休 日 ○○円×○○時間○○分×割増率=○○円
    深 夜  ○○円×○○時間○○分×割増率=○○円
    以上合計 ○○○万○○○○円

    つきましては、本書面到達後14日以内に、上記未払割増賃金の合計額○○○万○○○○円及びこれに対する各賃金支払期の翌日から支払済みまで商事法定利率年〇%(退職者の場合は、退職の日の翌日から支払済みまでの利率は年14.6%です。)の割合による遅延損害金を、私が給与振込先に指定している預金口座あてに振込送金することによりお支払いください。

    もしも支払期限までに支払いいただけないときには、労働基準監督署への申告や、民事裁判などの法的手段を講ずる予定であることを念のため申し添えます。

    平成〇年〇月〇日

    000-0000 住所
    被通知人 株式会社○○ 代表取締役 ○○ ○○ 殿

    000-0000 住所
    通知人 ○○ ○○

  4. (4)内容証明を送付する際の注意点

    内容証明を送付する際には、いくつか注意点があります。

    ①封筒は封をせずに持っていくこと
    内容証明は前述の通り、内容がルールに沿って書いてあるかしっかりチェックされますので、封筒の封をせずに持っていきましょう。

    ②3部用意すること
    内容証明を送るには、「受取人への送付用、郵便局の保存用、差出人の保存用」の3部が必要です。同じものを3部用意しましょう。

    ③内容証明を差し出すことのできない郵便局がある
    郵便局であればどこでも内容証明を差し出すことができるというわけではありません。自分が行こうとしている郵便局では内容証明を差し出すことができるかどうか、日本郵便のホームページで確認してから郵便局に向かいましょう。

    近くに内容証明を出せる郵便局がない場合、パソコンで文書を作成し、インターネットで郵便局に送付依頼をすることができる「電子内容証明サービス(e内容証明)」というサービスもあります。

    ④配達証明をつける
    内容証明を送っただけでは、「いつ配達されたか?」ということまで証明することができません。「そんな書類は届いていない」という言い逃れをされないためにも、「配達証明」のオプションも合わせてつけるようにしましょう。

3、まとめ

内容証明を作成するのも、証拠を収集するのも、手間暇や時間がかかるものです。個人で行うことが難しいと感じた場合はベリーベスト法律事務所 金沢オフィスの弁護士にご相談ください。当事務所の弁護士が、お客様の状況を把握したうえでお客様に代わり内容証明の作成をいたします。もちろん、会社との交渉も弁護士が行いますのでご安心ください。

当事務所では残業代請求に関する法律相談料は、原則何度でも無料です。残業代を請求しようかどうか迷っておられる方は、ぜひ一度ごベリーベスト法律事務所金沢オフィスまで相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています